患者さんから「先生はどんなマウスウォッシュを使っているんですか?」と尋ねられることは少なくありません。歯科医療のプロである歯科医が、数ある製品の中から何を選び、どのような基準で判断しているのか、気になる方も多いでしょう。もちろん、個人の好みや口腔内の状態によって選択は異なりますが、多くの歯科医に共通するプロならではの選択基準というものが存在します。まず、歯科医が最も重視するのは「有効成分とその濃度」です。製品のイメージや味、爽快感といった感覚的な要素よりも、科学的根拠に基づいた効果を最優先します。例えば、虫歯予防を考えるなら、フッ素濃度がなるべく高いもの(日本では1450ppmが上限)を選びます。歯周病予防であれば、CPCやIPMPといった殺菌成分が、十分な効果を発揮できる濃度で配合されているかを確認します。成分表示を細かくチェックし、自分の目的に合った有効成分が主役としてしっかり配合されている製品を選ぶのがプロの視点です。次に、「刺激の少なさ」も重要な選択基準です。毎日快適に使い続けられることは、セルフケアにおいて非常に大切です。アルコール含有タイプの強いピリピリ感は、粘膜を傷つけたり、口内を乾燥させたりするリスクがあることを知っているため、多くの歯科医は、日常使いには「ノンアルコール」で「低刺激性」の製品を好む傾向があります。特に、長期的な使用を考えた場合、口腔内の細菌バランスを過度に乱さず、優しく作用するものを選ぶのが賢明だと考えています。また、「+αの効果」にも着目します。例えば、殺菌成分に加えて、歯茎の炎症を抑える抗炎症成分(グリチルリチン酸ジカリウムなど)が配合されているものや、歯石の沈着を防ぐ成分(ポリリン酸ナトリウムなど)が含まれているものなど、複合的な効果が期待できる製品は高く評価されます。歯科医は、これらの基準を基に、自分の現在の口腔内の課題(虫歯リスクが高いのか、歯茎が腫れやすいのかなど)に合わせて、最適な一本を論理的に選択しています。それは、自分自身の健康を守るためであり、また、患者さんへ的確なアドバイスをするための実践でもあるのです。
歯科医はどのマウスウォッシュを使っている?プロの選択基準