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歯の隙間の黒い着色(ステイン)を自分で落とす方法はある?
歯の隙間にできた黒いものが、歯科医院で「虫歯ではなく、着色(ステイン)ですね」と診断された場合、ひとまず安心ですが、その見た目はやはり気になるものです。歯科医院でのクリーニングが最も確実で安全な方法ですが、「自宅で、自分で何とかできないか」と考える方もいるでしょう。ここでは、市販の製品を使って、歯の隙間の着色をセルフケアで落とす方法と、その限界、そして注意点について解説します。市販の製品で、歯の着色除去を謳っているものには、主に「ホワイトニング効果のある歯磨き粉」があります。これらの歯磨き粉には、一般的に「研磨剤」や、「ステインを浮かせて落とす」化学成分(ポリエチレングリコール、ポリリン酸ナトリウムなど)が配合されています。歯の表面に付着した、比較的軽い着色であれば、これらの歯磨き粉を使い、丁寧にブラッシングすることで、ある程度薄くすることができる可能性があります。特に、歯と歯の間の平らな面に近い部分であれば、効果を感じられるかもしれません。しかし、セルフケアにはいくつかの「限界」と「注意点」があります。まず、歯と歯が隣接している、非常に狭い隙間の奥深くにまで入り込んだ頑固な着色は、歯ブラシの毛先が届かないため、歯磨き粉だけで完全に落とすことは極めて困難です。無理に硬い歯ブラシでゴシゴシこすると、歯や歯茎を傷つけてしまうリスクもあります。また、研磨剤が多く含まれている歯磨き粉を長期間使用し続けると、歯の表面のエナメル質を削ってしまい、ミクロの傷を作ってしまう可能性があります。この傷は、かえって新たなステインが付着しやすくなる原因ともなり、知覚過敏を引き起こすこともあります。歯を白くする効果を謳う「消しゴム」のような製品もありますが、これも研磨作用が強いため、歯の隙間のようなデリケートな部分に使うのは、あまりお勧めできません。結論として、セルフケアでできるのは、あくまで「軽度の着色を、これ以上濃くしないように予防する」程度と考えるのが賢明です。すでに目立ってしまっている歯の隙間の黒い着色を、安全かつ確実に、そしてきれいに落としたいのであれば、やはり歯科医院で、プロによる専門的なクリーニング(PMTC)を受けるのが、最も確実で、歯の健康にとっても最善の選択と言えるでしょう。