歯磨き粉の泡立ちと爽快感の真実
歯磨きをする時、たっぷりの歯磨き粉を歯ブラシにつけて、口の中を泡だらけにして磨くのが好きだという方はいませんか。ミントの強い爽快感と豊かな泡立ちが、口の中を隅々まで洗浄してくれているような気分になりますよね。しかし、この「磨けた感」が、実は適切なブラッシングを妨げている可能性があるのです。多くの歯磨き粉には、発泡剤としてラウリル硫酸ナトリウムなどが含まれています。この成分が豊かな泡立ちを生み出すのですが、泡が多いと口の中がすぐに満たされてしまい、実際にはまだ十分に磨けていないにもかかわらず、短時間で歯磨きを終えてしまう傾向があります。いわば、泡立ちによってごまかされてしまうのです。また、歯磨き粉に含まれる清涼剤(ミントなど)の爽快感が強すぎると、プラークが残っていてもスッキリした気分になり、磨き残しに気づきにくくなるという側面もあります。さらに注意したいのが、歯磨き粉に含まれる研磨剤です。研磨剤は、歯の表面に付着した着色汚れ(ステイン)を落とす効果がありますが、粒子が粗いものや、研磨剤の配合量が多いものを使い、強い力で磨いてしまうと、歯のエナメル質を必要以上に削り取ってしまう恐れがあります。歯磨きの主役は、あくまで歯ブラシの毛先による物理的なプラークの除去です。歯磨き粉は、それを補助する役割にすぎません。歯磨き粉の量は、歯ブラシの毛の三分の一から半分程度で十分です。泡立ちや爽快感が少ないタイプの歯磨き粉や、ジェルタイプの歯磨き粉を選んでみるのも一つの方法です。そうすることで、泡に邪魔されることなく、一本一本の歯の状態を確認しながら、時間をかけて丁寧に磨くことができるようになります。感覚に頼らず、確実なプラークコントロールを目指すことが大切です。