口内炎だと思ったら歯肉癌だった話
これは、私の友人の話です。彼は数ヶ月前、歯茎に小さな白いできものができているのに気づきました。いつもの口内炎だろうと思い、特に気に留めていなかったそうです。仕事が忙しく、疲れも溜まっていた時期だったので、そのせいだろうと。しかし、二週間、三週間と時間が経っても、そのできものは消えませんでした。痛みはほとんどなかったため、日常生活に支障はなく、つい放置してしまったと言います。ある日、食事中に硬いものが当たったのか、その部分から出血しました。一度きりのことだろうと思っていたら、歯磨きのたびにじわりと血が滲むようになりました。さすがに何かおかしいと感じ始めた彼は、ようやく重い腰を上げて歯科医院へ向かいました。診断の結果は、彼が想像もしなかった「歯肉癌」でした。幸いにも初期段階での発見だったため、手術と治療によって事なきを得ましたが、もしあのまま放置していたらと考えると、今でも背筋が凍る思いがすると彼は語ります。彼が後悔していたのは、「痛みがないから大丈夫」と安易に考えてしまったこと、そして「忙しいから」を理由に専門医の診察を後回しにしてしまったことでした。口内炎と歯肉癌の初期症状は、専門家でなければ見分けるのが非常に難しい場合があります。特に痛みがない場合は、発見が遅れがちです。この友人の経験は、私たちに重要な教訓を教えてくれます。それは、口の中にできたできものが二週間以上治らない場合は、痛みの有無にかかわらず、必ず医療機関を受診するべきだということです。自分の体を守るために、少しの異変も見逃さず、専門家の判断を仰ぐ勇気を持つことが、いかに大切であるかを物語っています。