口の中を噛んでできた傷。そのズキズキとした痛みは、食事や会話のたびに気になり、日常生活の質(QOL)を大きく低下させます。そんな辛い症状を少しでも和らげ、快適に過ごすために、市販の口内炎治療薬を上手に活用するのは、非常に有効なセルフケアの一つです。市販薬には、様々なタイプがあり、それぞれの特徴を理解して、自分の症状やライフスタイルに合ったものを選ぶことがポイントです。まず、最も一般的なのが「軟膏・クリームタイプ」です。指や綿棒で、患部に直接塗布する薬です。有効成分が患部に密着し、炎症を抑え、痛みを和らげます。唾液で流れやすいというデメリットはありますが、寝る前など、しばらく飲食をしないタイミングで塗ると、効果が持続しやすくなります。次に、近年人気が高まっているのが「貼るパッチ・シールタイプ」です。小さなシール状の薬を、患部に直接貼り付けます。最大のメリットは、物理的に傷口を覆うことで、食べ物や歯が当たる刺激から、長時間にわたってしっかりとガードしてくれる点です。これにより、食事中の痛みが劇的に軽減されます。抗炎症成分が配合されており、薬が溶けてなくなるタイプと、後で剥がすタイプがあります。日中の活動時間や、食事の前に使うのに非常に便利です。また、手が届きにくい喉の奥などに傷ができてしまった場合には、「スプレータイプ」が役立ちます。ノズルを使って、患部に直接薬剤を噴霧することができます。手を汚さずに、広範囲に薬液を行き渡らせることができるのが特徴です。これらの市販薬に共通して含まれている主な有効成分は、「抗炎症成分(トリアムシノロンアセトニド、アズレンスルホン酸ナトリウムなど)」や、「殺菌成分(セチルピリジニウム塩化物水和物など)」、「組織修復成分(アラントインなど)」です。商品によって配合されている成分や強さが異なるため、購入の際は、薬剤師に相談し、自分の症状に合ったものを選んでもらうと良いでしょう。市販薬を使用する際の注意点は、使用前に必ず口の中を清潔にし、用法・用量を守ることです。そして、市販薬はあくまで症状を和らげるための対症療法です。5〜6日間使用しても症状が改善しない、あるいは悪化するようであれば、使用を中止し、必ず歯科や口腔外科などの専門医を受診するようにしてください。
噛んでできた白い傷。市販薬の上手な使い方