大きくて痛い口内炎ができてしまい、セルフケアではなかなか治らない。そんな時、専門家の助けを借りるのが最善の策ですが、「一体、何科の病院に行けばいいのだろう?」と迷ってしまうかもしれません。口の中のトラブルは、複数の診療科が関連するため、症状に応じて適切な科を選ぶことが、スムーズな解決に繋がります。まず、口内炎の診療において、最も専門的で、第一選択となるのが「歯科」または「口腔外科」です。歯科医師は、歯だけでなく、歯茎、舌、頬の粘膜といった、口腔内全体の健康を管理するエキスパートです。でかい口内炎の診察はもちろんのこと、なぜその口内炎ができてしまったのか、その根本的な原因を探ってくれます。例えば、尖った歯や、合わなくなった被せ物、入れ歯などが粘膜を慢性的に刺激していることが原因であれば、歯の研磨や被せ物の調整といった、歯科ならではの治療で、再発を防ぐことができます。また、歯科医院では、痛みを和らげ、治癒を促進するためのレーザー治療を行ったり、専門的な軟膏や洗口液を処方したりすることも可能です。「口腔外科」は、歯科の中でも、より高度な診断や外科的処置を専門とする科です。2週間以上治らない口内炎や、腫瘍の疑いがある場合など、精密な検査(生検など)が必要なケースでは、口腔外科が最も頼りになります。次に、選択肢となるのが「耳鼻咽喉科」です。耳鼻咽喉科は、鼻や耳だけでなく、喉(咽頭・喉頭)を含む、口の中から首にかけての広い範囲を専門としています。一般的な口内炎の診察や、薬の処方は、耳鼻咽喉科でも十分に対応可能です。特に、喉の奥の方や、扁桃腺の近く、舌の付け根など、歯科の椅子では見えにくい場所に、でかい口内炎ができてしまった場合は、耳鼻咽喉科医が持つ専門的な診察器具(ファイバースコープなど)が、診断に非常に役立ちます。また、口内炎だけでなく、発熱や喉全体の痛み、リンパ節の腫れといった、全身症状を伴う場合は、ウイルス感染症なども鑑別する必要があるため、耳鼻咽喉科や「内科」が適切な相談先となります。どちらの科を受診すべきか迷った場合は、まず「歯や被せ物が原因かも」と思うなら歯科へ、「喉に近い、あるいは全身症状がある」なら耳鼻咽喉科や内科へ、と考えると良いでしょう。