マッサージに通っても、ストレッチをしても、一向に改善しない慢性的な肩こり。その頑固な症状の原因が、実は「歯」や「噛み合わせ」にあるかもしれない、と考えたことはありますか。私たちの頭部は、成人で約5〜6キログラムもの重さがあり、それを首と肩の筋肉が支えています。そして、この頭部のバランスを保つ上で、極めて重要な役割を果たしているのが、下顎の位置、つまり「噛み合わせ」なのです。噛み合わせに異常があると、下顎の位置が本来あるべき場所からわずかにずれてしまいます。例えば、歯を失ったまま放置していたり、高さの合わない被せ物が入っていたり、あるいは歯ぎしりによって歯がすり減っていたりすると、噛み合わせのバランスは簡単に崩れます。下顎の位置がずれると、頭部の重心も微妙に変化します。体は、この重心のずれを補正しようとして、無意識のうちに首や肩の筋肉を緊張させ、バランスを取ろうとします。この持続的な筋肉の緊張が、血行不良を引き起こし、筋肉内に疲労物質を蓄積させます。これが、肩こりの正体です。つまり、噛み合わせの異常は、体の歪みの出発点となり、そのしわ寄せが最も顕著に現れる場所の一つが、肩なのです。また、歯に痛みがある場合も、肩こりを引き起こす大きな要因となります。痛みを避けるために、片側の歯だけで食べ物を噛む癖がつくと、左右の顎の筋肉の使われ方に大きな差が生まれます。片方の筋肉ばかりが酷使されて疲労し、硬直します。顎の筋肉(咬筋)は、首の筋肉(胸鎖乳突筋)や肩の筋肉(僧帽筋)と連動して動いているため、顎のアンバランスは、そのまま首や肩のアンバランスへと直結し、頑固なこりを生み出すのです。もし、あなたの肩こりが、マッサージなどで一時的に楽になってもすぐに元に戻ってしまう、あるいは頭痛やめまい、耳鳴りといった他の症状も伴うのであれば、その原因は単なる筋肉の疲労ではなく、噛み合わせにある可能性を疑うべきです。歯科医院で噛み合わせのチェックを受け、必要であればマウスピースの作成や、被せ物の調整といった治療を行うことで、長年悩み続けた肩こりから解放されるケースは、決して少なくないのです。
肩こりの原因は歯?噛み合わせと筋肉の連鎖