歯の痛みと、それに伴う頭痛。このダブルパンチに襲われた時、すぐに歯科医院に行けない状況では、一刻も早くこの苦しみから解放されたいと願うのは当然です。いくつかの応急処置は、一時的に症状を和らげるのに役立ちますが、それらは根本的な解決策ではないことを、まず理解しておく必要があります。あくまで、専門家の診察を受けるまでの「つなぎ」であると心得ておきましょう。まず、痛みに対して最も直接的にアプローチできるのが、市販の「鎮痛剤」の服用です。特に、歯の炎症が原因の場合が多いため、ロキソプロフェンやイブプロフェンといった、抗炎症作用も併せ持つタイプの鎮痛剤が効果的です。用法・用量を必ず守り、服用してください。薬が効き始めるまでには少し時間がかかりますが、歯痛と頭痛の両方を和らげる効果が期待できます。次に、痛む部分を「冷やす」ことも有効です。歯が痛む側の頬の外から、タオルで包んだ保冷剤や冷却シートなどを当てて、優しく冷やしましょう。冷やすことで、炎症部分の血流が抑えられ、ズキズキとした痛みが緩和されます。これは、筋肉の緊張による頭痛にも、ある程度の効果が見込めます。ただし、氷などを直接口に含んで患部を冷やすのは、刺激が強すぎるため避けてください。生活上の注意点としては、「血行を促進する行為を避ける」ことが重要です。具体的には、熱いお風呂に長く浸かる、飲酒をする、激しい運動をするといった行為は、体全体の血の巡りを良くし、炎症や痛みを増強させてしまう可能性があります。入浴は、ぬるめのシャワーで軽く済ませるのが無難です。また、体を休め、できるだけ安静に過ごすことも、痛みの緩和につながります。これらの応急処置で症状が少し楽になったからといって、決して「治った」と自己判断しないでください。特に、歯の痛みと頭痛が同時に起きている場合、その裏には、歯の神経の深刻な炎症や、副鼻腔炎といった、専門的な治療が不可欠な病気が隠れている可能性が非常に高いです。痛みが引いたとしても、それは鎮痛剤の効果や、炎症が一時的に落ち着いているだけかもしれません。必ず、できるだけ早く歯科医院を受診し、根本原因を突き止めて、適切な治療を開始してください。
歯痛と頭痛に効く応急処置と注意点