歯と歯の間に見つけた黒い点。これが単なる着色なのか、それとも治療が必要な虫歯なのかを、自分自身で正確に見分けることは非常に困難です。しかし、いくつかの特徴に注目することで、その危険度をある程度推測することは可能です。ここでは、歯の隙間の黒いものが「虫歯」である可能性が高い場合に見られる、いくつかのサインとその見分け方について解説します。まず、注目したいのが「形状と質感」です。もし、黒い部分が、ただ歯の表面に色が乗っているような平坦なものではなく、明らかに「穴」が開いていたり、筋状に「溝」ができていたりする場合は、虫歯である可能性が非常に高いです。爪楊枝やフロスの先でそっと触れてみて、ザラザラとした感触や、引っかかるような感触があれば、歯の表面が溶けている証拠です。次に、「痛みやしみる」といった自覚症状の有無も、重要な判断材料です。冷たいものや甘いものが、その部分に触れた時に「キーン」としみるような痛みを感じる場合、虫歯がエナメル質の内側にある象牙質まで達している可能性があります。象牙質には神経に繋がる細い管が通っているため、外部からの刺激が神経に伝わりやすくなるのです。ただし、初期の虫歯では、全く痛みを感じないことも多いため、「痛くないから大丈夫」という自己判断は禁物です。また、「フロス(デンタルフロス)の状態」もヒントになります。毎日フロスを通している特定の場所で、いつもフロスが引っかかったり、切れたり、あるいは、フロスが黒っぽく汚れたりするようであれば、その隙間に虫歯の穴や段差ができている可能性が考えられます。そして、最も確実なのは、その黒い部分が「時間と共に変化するか」どうかです。着色であれば、その濃さが多少変わることはあっても、形や大きさが変化することはほとんどありません。しかし、虫歯は進行性の病気です。数ヶ月後、あるいは一年後に、明らかに黒い部分が大きくなっていたり、穴が深くなっていたりする場合は、間違いなく虫歯が進行している証拠です。これらのセルフチェックは、あくまで受診の目安です。最終的な診断は、必ず歯科医師に委ねましょう。