良かれと思ってたゴシゴシ磨き失敗談
私は昔から虫歯になりやすい体質で、歯医者さんには本当によくお世話になっていました。だからこそ、大人になってからは誰よりも熱心に歯磨きをしているという自負があったのです。硬めの歯ブラシで、歯磨き粉をたっぷりつけて、とにかく力を込めてゴシゴシと磨く。磨き終わった後の、あのキュッキュッという音と爽快感が、清潔になった証拠だと信じて疑いませんでした。しかし、ある頃から冷たい水を飲むと歯がキーンとしみるようになってきたのです。最初は一時的なものだろうと軽く考えていましたが、症状は日増しにひどくなり、アイスクリームを食べるのも躊躇するほどになりました。さすがにおかしいと思い、いつもの歯医者さんへ駆け込みました。口の中を診てもらった先生から告げられたのは、衝撃的な言葉でした。「これは、歯の磨きすぎですね」。私の歯は、長年の強すぎるブラッシングによって表面のエナメル質が削れ、さらに歯茎も少しずつ後退して、知覚過敏を引き起こしていたのです。良かれと思って続けてきた習慣が、自分の歯を傷つけていたという事実に、頭をガツンと殴られたようなショックを受けました。先生からは、歯ブラシを柔らかいものに変えること、そして歯ブラシは鉛筆のように軽く持ち、力を入れずに小刻みに動かすようにと指導されました。最初はあまりに軽い力で、本当に汚れが落ちているのか不安でたまりませんでした。しかし、数週間続けるうちに、あれほど酷かった知覚過敏が少しずつ和らいでいくのを実感できたのです。この経験を通して、私は「しっかり磨く」ことと「強く磨く」ことは全く違うのだと痛感しました。大切なのは力ではなく、丁寧さなのだと、身をもって学んだ出来事です。