無事に歯石取りが終わって一安心。しかし、家に帰ってから、あるいは翌日になってから、歯がズキズキ痛んだり、歯茎が腫れたり、水がしみたりといった不快な症状に悩まされることがあります。治療中は痛くなかったのに、なぜ後から痛むのか。この歯石取り後の痛みは、多くの場合は一時的なものであり、適切な対処をすれば数日で治まります。その原因と対処法を知っておくことで、過度に心配することなく、落ち着いて回復を待つことができます。歯石取り後に痛みが出る主な原因は、処置による「一時的な刺激」です。歯石は歯に強力にこびりついているため、それを剥がし取る際には、歯や歯茎にある程度の物理的な刺激が加わります。特に、歯周病で炎症を起こしていた歯茎は、歯石という長年の刺激物が取り除かれたことで、一時的にさらに敏感になり、ヒリヒリとした痛みや腫れが出ることがあります。これは、傷口が治る過程で起こる、正常な治癒反応の一つと考えて良いでしょう。また、歯を覆っていた分厚い歯石がなくなることで、今まで隠れていた歯の根が露出し、外からの刺激に敏感になって、一時的に知覚過敏の症状(水がしみるなど)が強く出ることがあります。これは、いわば歯が「裸」の状態になり、環境の変化に驚いているようなものです。では、これらの症状が出た場合はどうすれば良いのでしょうか。まず、痛みが気になる場合は、我慢せずに市販の鎮痛剤を服用しても構いません。歯科医院で処方された場合は、指示通りに服用しましょう。歯茎が痛む時は、硬い歯ブラシでゴシゴシ磨くのは避け、柔らかめの歯ブラシで優しく磨くようにしてください。出血を恐れて歯磨きをしないのは、かえって細菌が繁殖し、治癒を遅らせる原因になります。清潔に保つことが、早い回復への近道です。水がしみる場合は、冷たい飲み物や熱い食べ物を避け、常温のものを口にするように心がけましょう。これらの症状は、通常2〜3日から、長くても1週間程度で自然に落ち着いていきます。もし、一週間以上経っても痛みが全く引かない、あるいはどんどん酷くなるような場合は、別の問題が隠れている可能性もあります。その際は、我慢せずに処置を受けた歯科医院に連絡し、相談するようにしてください。
歯石取り後の痛み、その原因と正しい対処法