歯科医院側も、患者さんが歯石取りに対して「痛い」「怖い」というイメージを持っていることを十分に理解しています。そのため、できるだけ快適に、そしてリラックスして処置を受けられるように、様々な工夫を凝らしています。もし、あなたが痛みへの不安から歯石取りをためらっているのなら、現代の歯科医院で行われている、これらの「痛みを和らげるための取り組み」を知ることで、少しは安心して一歩を踏み出せるかもしれません。まず、多くの歯科医院で実践されているのが、丁寧な「カウンセリング」です。処置を始める前に、患者さんが何に不安を感じているのか、過去に痛い経験をしたことはないかなどを詳しくヒアリングします。そして、これから行う処置の内容や、なぜそれが必要なのかを分かりやすく説明し、患者さんの不安を和らげることに努めます。コミュニケーションを通じて信頼関係を築くことが、リラックスにつながり、結果的に痛みを感じにくくさせる効果があるのです。処置中の具体的な工夫としては、器具の使い分けや調整が挙げられます。例えば、超音波スケーラーは、パワーを細かく調整できるため、患者さんの反応を見ながら、痛みを感じないギリギリのレベルで処置を進めることができます。また、知覚過敏が強い方には、最初から刺激の少ない手用のハンドスケーラーを中心に使ったり、水温を調整したりといった配慮も行います。それでも痛みが強いと予想される場合や、歯周ポケットの奥深くの歯石を取るような、より侵襲の大きい処置を行う際には、積極的に「麻酔」を使用します。注射が苦手な方のために、まずは歯茎の表面にジェルやスプレータイプの「表面麻酔」を塗布し、針が刺さる瞬間の痛みを軽減します。そして、電動注射器を使って、麻酔液を非常にゆっくりとした一定のスピードで注入することで、注入時の圧痛を最小限に抑えることも可能です。これらの麻酔を適切に使うことで、処置中の痛みはほぼゼロにすることができます。歯科医院は、もはや「痛みを我慢する場所」ではありません。痛みを科学的にコントロールし、患者さんの負担をできる限り取り除く努力をしているのです。
歯石取りの痛みを和らげるための歯科医院の工夫